2017年10月31日火曜日

第22回 国際浮世絵学会 秋季大会 



22回 国際浮世絵学会 秋季大会 
大会テーマ「浮世絵と文学」

日時 20171125日(土)・26日(日)
会場 専修大学神田キャンパス 5号館561教室

【資料代】(二日間共通)
国際浮世絵学会会員:1000円 一般:2000円 学生(一律):500

一般の方も参加できます。事前の予約は不要です。
参加ご希望の方は、当日大会の受付へお越しください。


1125日(土)
総合司会:日野原健司(太田記念美術館・国際委員会委員長)
12301330 理事会
13301340 開会の辞 小林忠(国際浮世絵学会会長・岡田美術館館長)
        理事長挨拶 浅野秀剛(国際浮世絵学会理事長・大和文華館館長)

13401425 研究発表① 司会:内藤正人(慶應義塾大学)
向井大祐(東京藝術大学)
「勝川春章『婦女風俗十二ヶ月図』(MOA 美術館蔵)新考―想定復元模写を通じて―」
14251510 研究発表② 司会:内藤正人(慶應義塾大学)
細田博子(國學院大學大学院)
「鯰絵の作者像についての考察」

15101550 コーヒーブレイク

15501635 研究発表③ 司会:伊藤千尋(永青文庫)
曽田めぐみ(東京国立博物館)
「新出の浅山芦国筆「芝翫帖」について―絵師・書肆・歌右衛門贔屓としての芦国に着目して」
16351720 研究発表④ 司会:伊藤千尋(永青文庫)
佐藤悟(実践女子大学)
「文化元年の彩色摺禁止令と絵本」

1800~ 懇親会 泰南飯店  司会:洲脇朝佳・染谷美穂


1126日(日)
10001045 研究発表⑤ 司会:岡崎礼奈(東洋文庫)
神谷蘭(学習院大学大学院)
「横浜絵・開化絵の景観表現」
10451130 研究発表⑥ 司会:岡崎礼奈(東洋文庫)
堀川浩之(藝術出版社)
「熊耳耕年の画業と生涯」

11301300 休憩

13001345 研究発表⑦ 司会:武藤純子(清泉女子大学)
服部仁(同朋大学)
「『白縫譚』と「白縫八景」」

13451445 基調講演① 司会:藤澤紫(國學院大學)
康志賢(全南大学校)
<膝栗毛もの>の図様継承史と画題」

14451515 コーヒーブレイク

15151615 基調講演② 司会:田沢裕賀(東京国立博物館)
マイケル・エメリック(カリフォルニア大学)
「天保期以降の『源氏絵』ブーム」

16151730 シンポジウム「文学の流行は浮世絵に何をもたらしたのか」
 司会:小林ふみ子(法政大学・国際委員会副委員長)
パネリスト:服部仁(同朋大学)
康志賢(全南大学校)
マイケル・エメリック(カリフォルニア大学)
日野原健司(太田記念美術館・国際委員会委員長)




2017年8月7日月曜日

芸術の秋 2017年度 国際浮世絵学会研究会のお知らせ

芸術の秋
2017年度 国際浮世絵学会研究会のお知らせ
 
2017 年度の国際浮世絵学会研究会は「芸術の秋」と銘打ち、9 月から11 月に開催することになりました。
104回は千葉市美術館、第105106回はあべのハルカス美術館、第107回は町田市立国際版画美術館にて、春信から北斎、明治の浮世絵まで、幅広いジャンルの発表やシンポジウムを行います。会員の皆様は、奮ってご参加ください。



第104回研究会

日時 平成29 9 23 ( 土・祝) 15:00 15:40
場所 千葉市美術館 11 階講堂
内容 発表 「春信を慕う 明和末期~安永初期の浮世絵界」 
田辺昌子氏(千葉市美術館)
   および「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」見学
展覧会は8 階受付で会員証をご提示の上、随時ご観覧ください(当日のみ)。

【千葉市美術館 千葉市中央区中央3-10-8 TEL 043-221-2311

第105回研究会

日時 平成29 10 8 日(日)13:00
内容 「北斎ー富士を超えてー」(あべのハルカス美術館)見学会
※当日13:00 より、あべのハルカス25 階会議室前の国際浮世絵学会専用受付を行います。 会員証の提示で招待券を1 枚お渡ししますので、随時ご観覧ください。
※当日に限り学会員のみ再入場が可能です。美術館入口で半券と会員証の両方をご提示ください。

【あべのハルカス美術館  大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16 階 TEL 06-4399-9050


第106回研究会 
日時 平成29 10 8 日(日)14:00 17:00
場所 あべのハルカス25 階会議室
内容 「北斎―富士を超えて―」開催記念 日英シンポジウム「北斎研究の現在」
 14:00 開会の辞
 14:05 研究発表
 「北斎風景画の空間構造」       大久保純一氏(国立歴史民俗博物館教授)
 「北斎筆「潮干狩図」(重要文化財)について」 
秋田達也氏(大阪市立美術館主任学芸員)
 「ボストン美術館所蔵、北斎の未刊の武者絵本について」 
浅野秀剛氏(あべのハルカス美術館館長)
 「社会的文脈における後期の北斎」
アルフレッド・ハフト氏( 大英博物館アジア部
日本セクションプロジェクトキュレーター)
 「北斎―最後の三年間」 
ティモシー・クラーク氏(大英博物館アジア部日本セクション長)
 15:55 パネルディスカッション  
司会)北川博子氏(あべのハルカス美術館主任研究員)
 16:55 閉会の辞

※本シンポジウムは国際浮世絵学会との共催で行われます。
※先に第105 回研究会の受付をお済ませください。
シンポジウム参加には観覧券(半券)が必要です。一般受付は13:30 開始、定員は200 人となっていますが、学会員は専用受付で13:00 開始、席数も別枠で確保しています。ただし、会場定員に達した場合はご入場いただけませんのでご注意ください。

【あべのハルカス美術館  大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16 階 TEL 06-4399-9050


第107回研究会

日時 平成29 11 11 日(土) 14:00 15:30
場所 町田市立国際版画美術館 1 階講堂
内容 発表 「浮世絵に描かれた母と子」藤澤紫氏(國學院大學)
   および「明治維新から150 浮世絵にみる 子どもたちの文明開化」見学
※定員は120 名(先着順)です。
※当日13:00 より、国際浮世絵学会専用受付を行います。
 会員証の提示で招待券を1 枚お渡ししますので、随時ご観覧ください。


【町田市立国際版画美術館 東京都町田市原町田4-28-1 042-726-0860

2017年5月1日月曜日

第19回 国際浮世絵学会 春季大会

19回 国際浮世絵学会 春季大会

2017611日(日)
法政大学 市ヶ谷キャンパス 富士見ゲートG601
東京都千代田区富士見2-17-1 JR・地下鉄市ヶ谷駅または飯田橋駅より徒歩10

プログラム

10:00 受付開始
10:30-10:40 開会の辞 会長 小林忠
            理事長 浅野秀剛

午前・研究発表
司会)大久保純一
10:40-11:20 「窪俊満伝記小考―俳諧師二世祇徳の文化圏に注目して―」
       神谷勝広(同志社大学)
11:20-12:00 「歌川国芳《二十四孝童子鑑》に関する一考察」
       中山創太(神戸市立博物館)

12:00-13:00 昼食休憩(第38回理事会)(富士見ゲートG602

13:00-13:50 第19回通常総会
司会)加藤陽介

午後・研究発表
司会)樋口一貴
14:00-14:40 「菱川師宣の科学的調査―山東京伝におる菱川師宣考証に注目して」
       阿美古理恵(国際浮世絵学会事務局)
       塚田全彦(東京芸術大学大学院)
       桐野文良(東京芸術大学大学院)

14:50-15:10 第11回国際浮世絵学会賞授賞式
司会)北川博子
学会賞受賞者:纐纈公夫、田辺昌子
11回国際浮世絵学会賞選考経緯ならびに国際浮世絵学会賞授与
会長 小林忠
11回国際浮世絵学会賞受賞記念講演
15:20-15:40 「浮世絵版画雑感」          纐纈公夫(大屋書房)
15:40-16:30 「浮世絵を伝える―美術館の現場から」 田辺昌子(千葉市美術館)

17:00- 懇親会
司会)松田美沙子・村瀬可奈
    会場:ビストロ・ポンヌフ
       東京都千代田区富士見2-3-14 CSTビル1F 
          http://www.bistro-pont-neuf.com/

【大会参加費】 会員は無料です。受付で本年度の会員証をご提示下さい。
        一般の方も歓迎いたします。一般\1,000、学生\500
【懇親会参加費】国際浮世絵学会 会員\5,000、一般\6,000、学生一律\3,000



※春季大会の会場は、③の建物です。


研究発表要旨

「窪俊満伝記小考
―俳諧師二世祇徳の文化圏に注目して―」
The life of Kubo Syunnmann
神谷勝広(同志社大学)

 窪俊満(一七五七~一八二〇)は、浮世絵・戯作・狂歌の分野で活躍する。画を楫取魚彦・北尾重政に、狂歌を頭光に学び、安永八年(一七七九)頃から黄表紙等も世に送り出す。また一筆斎文調七回忌の追悼文を書いているので、文調とも繋がりを持っていた。
 しかし謎も多い。➀俊満の画業はいつから始まったのか。②本当に中国画の魚彦の弟子だったのか、そうであれば、どういう経緯で浮世絵へ変わったのか。③文調・頭光・重政とは、いつどこで接触したのか。④なぜ黄表紙を書き始めるのが、安永八年頃だったのか。⑤なぜ安永八年頃、まだ二十三歳の若さだったにも関わらず、あれほどの活躍ができたのか。
 これらの謎を解く鍵は、江戸座の俳諧師二世祇徳(一七二八~一七七九)の文化圏にあった。俊満は十四歳で魚彦を介して二世祇徳に繋がり、その歳旦帳に参加していた。その後、十年ほど俳諧に親しむ。二世祇徳文化圏内には、酒井銀鵞(姫路藩主)・柳沢米翁(大和郡山藩隠侯)・祇蘭(札差にして代表的通人)・市川団十郎・烏亭焉馬・夏目成美・木室卯雲(噺本作者)・魚躍(吉原遊廓引手茶屋)・五町(吉原遊郭幇間)らとともに、実は、絵師の文調・文笑(文調の弟子で、後の頭光)・重政、黄表紙作者の朋誠堂喜三二・市場通笑もいた。俊満は、この文化圏で<ホープ>的な存在であったが、安永八年に二世祇徳が他界してしまう。このことも要因となり、黄表紙・狂歌・浮世絵の世界へ進んでいったと思われる。
 つまり、俊満は、十代前半から二世祇徳文化圏に長く関わり、その才能に磨きをかけつつ、多彩な人脈を得ていた。このような背景なくして、安永八年以降の多様な活躍はありえなかったのではないか。



「歌川国芳《二十四孝童子鑑》に関する一考察」
Study of Series: Twenty-four Paragons of Final Piety for ChildrenNijushiko doji kagamiby Utagawa Kuniyoshi
中山 創太(神戸市立博物館)

江戸時代後期に活躍した浮世絵師歌川国芳(寛政七~文久元年・一七九七~一八六一)は、作品を制作する際に、当時西欧から舶載された銅版画を参考にしたり、陰影表現を強調したりするなど、洋風表現に強く関心を示した浮世絵師の一人として知られている。諸氏の研究によって、国芳が同時代に活躍した絵師の作品だけでなく、当時輸入されていた蘭書を参考に自身の作品を手掛けていたことが明らかになっている。
 本発表で採りあげる《二十四孝童子鑑》は、天保一四~弘化元年(一八四三~四四)頃に若狭屋与市から刊行された揃物で、中国元代に定型化したとされる孝行伝、「二十四孝」を題材としている。現在二四の説話中、一七図(うち版下絵二図を含む)が確認されている。なお、先行研究では、作中にみられる洋風表現、とりわけ人物の服装や姿態の典拠と考えられる図様が提示されてきた。加えて、近年勝盛典子氏、勝原良太氏によって国芳が当時輸入されていたニューホフ『東西海陸紀行』(一六八二年刊行)から着想を得ていたことが明示された(二〇〇〇年及び二〇〇六、二〇〇七)。
 一方で、本揃物の風景描写に着目すると、陰影表現を強調したり、ハッチングのような銅版画を意識した表現がみられるものの、木々を画面の中央に配したり、事物を極端に近景に配したりするなど、一八世紀後半以降、盛んに刊行されていた名所図会など版本挿絵や天保年間頃から刊行された風景版画の影響がうかがえるといってよい。本発表では、《二十四孝童子鑑》の揃物にみられる洋風表現に対して、版本挿絵や風景版画を利用した従来の風景描写を改めて考察することで、国芳の作画姿勢を明らかにしていきたい。



「菱川師宣作品の科学的調査―山東京伝による菱川師宣考証に注目して」
Analysis of Colorants Used in Works of Hishikawa Moronobu
Focus on Historical Investigation of Hishikawa Moronobu by Santo Kyoden
 阿美古理恵(国際浮世絵学会事務局) 
                            塚田全彦(東京芸術大学大学院)
                             桐野文良(東京芸術大学大学院)                                   
                                                
浮世絵の祖とされる菱川師宣(?~一六九四)の伝記については、享和二年(一八〇二)十月に山東京伝(一七六一~一八一六)が『浮世絵類考』「追考」に記した「菱川師宣伝并系図」が、現在の学説に関わる重要な先行研究となっている。また、師宣の代表作として有名な「見返り美人図」(東京国立博物館蔵)の箱蓋裏には「文化七年庚午初冬 醒々齋鑒定」と記されている。醒々齋とは京伝の号であり、文化七年に京伝が師宣の作品の鑑定を行っていたことが分かる。京伝による師宣の伝記考証や作品鑑定の成果は、現代にも受け継がれているのである。
本発表では、京伝における師宣観がどのように成立したのかを考察するとともに、京伝が師宣と鑑定した作品と現在、師宣の標準作とされる作品の顔料や材質、表現技法を科学的に調査し、師宣作品の特質を明らかにするとともに、京伝の考証の実態を探っていきたい。
京伝が「菱川画幅」の「正筆」と鑑定した「恋童図」(個人蔵)に附属した京伝の書簡二通の内容を検討するとともに、京伝の考証資料の蒐集を可能にした大田南畝や曳尾庵等、当時の知識人たちとの交友についても考察する。
また、「恋童図」については、千葉市美術館に所蔵される師宣の基準作「天人採蓮図」などとともに、顔料や絹地などの材質を蛍光X線分析や赤外分光分析、可視反射分光分析といった科学的な調査方法を用いて分析し、比較検討することで、作品に用いられた素材や技法など、師宣の肉筆画作品の特徴を明らかにしていきたい。